不妊症とは
妊娠を希望し、1年間性生活を送っているにも関わらず、妊娠の成立を見ない場合をいいます。
現在は10組に1組が不妊症という悩みを抱えています。
通常、避妊せずに定期的に性行為を行っている夫婦であれば、
1年で8割、2年で9割、
が妊娠に至るそうです。
不妊症になる原因は様々
ここ最近「不妊症」という言葉をよく耳にするようになりました。
増加の背景には、社会的要因が強く関連している事が考えられます。
1.晩婚化
近年、晩婚化が進み、高齢出産が増加傾向にあります。
人間は年齢と共に身体は老化をし、女性は35歳を過ぎると卵子の老化が急速に進みます。
妊娠出来る確率も30歳後半になると20歳の半分の確率となり、晩婚化と共に不妊に悩む夫婦も増加しています。
2.ライフスタイルの充実
また、現代のライフスタイルは便利なものになりましたが、一方で、運動量が減り、人間の体力や持久力もどんどん低下しつつあります。
豊かな食生活の裏では、栄養過多による肥満と、生活習慣病の増加も問題となっています。
3.ストレス社会
現代はストレス社会とも言われています。
ストレスを抱えることで、ホルモンバランスも崩れ、若い方でも妊娠しにくい体質に陥るケースも増えてきています。
「不妊かな?」と思ったら、早めの病院受診を

夫婦生活を1年持ち、それでも妊娠に至らない場合は、早めの病院受診をお勧めします。
上記以外の方で、年齢が40歳以上の方、月経異常の方、子宮筋腫・子宮内膜症をお持ちの方は1年待たずに病院受診しても良いと思います。
原因がわかる事で、対応策も変わってくると思います。
夫婦共に原因がなく、タイミング治療ですぐに妊娠に至るケースもあります。
逆に、原因不明で何年も治療を行うケースもあります。
様々なケースがありますので、まずは原因があるのか?原因があればどのような治療がベストなのか?妊娠に至る可能性はあるのか?
などを夫婦でしっかり共有することが大事だと思います。
不妊症になる原因
不妊症の原因には様々なものがあります。
女性のみではなく、近年では男性側に原因がある事も増えています。
また、原因は一つとは限らず、複数ある場合もあります。
1.卵巣の問題
- 卵胞を発育させるホルモン分泌の低下
- 高プロラクチン血症
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 卵子の老化(卵子の数の減少)
2.卵管の問題
- クラミジアなどの感染による卵管炎や腹膜炎
- 腹腔内の手術による卵管周囲の癒着
- 子宮内膜症による癒着
3.子宮内膜症
- 子宮内膜が子宮以外の場所(卵巣・卵管)で増殖・剥離を繰り返す
- 卵巣に出来た場合は「チョコレート嚢胞」
4.着床障害
- 子宮腔に着床を妨げる器質的な要因がある
(子宮筋腫・子宮内膜ポリープ) - ホルモンの問題による着床障害
(黄体機能不全)
5.精子・精液の問題
- 乏精子症
- 精子無力症
6.不育症
妊娠しても流産を何度も繰り返すケース
7.原因不明不妊
不妊検査で原因となるものが見つからないのに妊娠に至らないケース
不妊治療の種類
一般的には、不妊症の治療は、男性側・女性側共に検査を受けるところから始まります。
その検査結果から3つのステップに合わせ治療を行っていきます。

♦ステップ1♦
タイミング法・対症療法
排卵日を予測し、医師が指示した日に性行為を持つ方法。
タイミング法を数回行っても効果がない場合は、「排卵誘発剤」を使用することも。
♦ステップ2♦
人工授精
女性の排卵日に男性の精子を採取し、子宮に注入する方法。
カテーテルを使い、子宮の奥深くまで精子を送り込むため、通常の性行為よりも精子と卵子が出会う確率は増える。
♦ステップ3♦
体外受精・顕微授精
体外受精は女性の卵巣から取った卵子と、男性の精子を体の外で受精させ、その後、受精卵を培養し、子宮内へ戻す方法。
顕微授精は、体外受精とは受精法のみが異なり、男性の元気な精子を1つ選び、それを針で卵子に注入する方法。
精子の数が少ない場合は顕微授精になることが多い。